運用型広告とは「2つのレバー」を操作すること、そして見落とされがちな「予算のレバー」

運用型広告を「運用」するということは、噛み砕いて言えば、「広告表示機会ごとに最適な広告を届けるための一連の取り組み」と言えます。プログラマティックな広告在庫の取引プラットフォームの発展により、柔軟かつ即時的な広告運用が実現できるようになり、それはつまり、運用プレイヤーの打ち手一つひとつが、広告パフォーマンスへダイレクトに影響を与えることを意味します。

この「一連の取り組み」は多岐に渡ります。

例えば、チャネルに搭載された機能を駆使して理想のユーザーにリーチさせること、広告原稿を変えて訴求をより魅力的なものにすること、計測ツールを導入することでチャネルの貢献性を定量化すること、効果を見ながら入札単価を調整することなど、その業務領域は多様化しています。

このように、単純な機能操作といったオペレーショナルな業務のみならず、 チャネルや機能の情報収集、 技術的理解、 補完サービスの導入など、 より広範かつ高いレベルを求められているのが、現在の運用プレイヤーが置かれている立場かと思います。

そこで、このような高いレベルが求められている運用型広告業務に対し、より効果の高い、筋の良い運用を実現するために、運用型広告業務を抽象化してその要点を考えてみたいと思います。

 

●運用型広告は2つのレバーを操作すること

 

言うなれば、運用型広告の業務とは、各チャネルやツールの管理画面を目の前にした「操縦席」に座り、人によってコントロール可能な「レバー」を操作して最適な広告を届けること、と表現できそうです。

レバーと表現できるのは、操作をするその先には機械(システム)があり、人間がインプットできる情報は対象のチャネルに依存し限定的ではあるが、そのインプットがすべての起点でありアウトプットを大きく左右するものであること、を表すのにちょうど良いイメージだからです。

さて、このコントロール可能な「レバー」ですが、下記の2つに大別できそうです。

 

  • 機能のレバー
  • 予算のレバー

 

 

2つのレバー

運用型広告の運用プレイヤーは、この2つのレバーをいかに的確に操作できるか、を突き詰めることが仕事であると言えます。下記にそれぞれのレバーについて触れてみたいと思います。

 

●やりがいのある「機能のレバー」

 

機能のレバーを操作するということは、具体的なアクションとして、

 

  • キーワードの完全一致率を上げる
  • 除外キーワードを投入する
  • モバイル配信率を調整する
  • RLSA(検索広告向けリマーケティング)を導入する
  • 入札単価を調整する
  • クエリに応じてランディングページを細かく分ける
  • リターゲティングを導入する
  • 機械学習エンジンを搭載したダイナミックレコメンド型広告を導入する

 

などが挙げられます。

操作対象となるチャネルの有する機能を理解し、そのチャネルのパフォーマンスを最大化させるために機能を駆使することが、機能のレバーを操作するということです。また操作そのものに加え、「どのレバーを選択して利用するのか」という、チャネルや機能を選定・導入することも、運用プレイヤーの腕の見せ所です。

この機能のレバーは、集中して取り組めば短期的に成果につながるケースも多く、投じた労力に対するリターンが見えやすいため、心理的にも取り組みやすく、やりがいを感じることができると思います。もちろん、チャネル全体の効果を向上させるためには、機能が有効に働くよう、利用する機能の重複や抜け・漏れを防ぐために、アカウントの全体設計から見直す必要のあるケースも少なくありませんが、例えばリターゲティングを導入したり、クエリや配信先ドメインを精査して除外設定を充実させることなどは、短期的に目に見える効果を得ることができることも多いと思います。

しかしこの機能のレバーは、悪く言えば場当たり的に対応できてしまうもの、とも言えます。この機能のレバーを操作するだけで、運用型広告業務をやりきった気になっていては片手落ちです。そこで忘れられがちなのが、もう一つの「予算のレバー」です。機能のレバーに向き合うことと同等に、この予算のレバーは極めて重要な観点です。

 

●忘れられがちな「予算のレバー」

 

予算のレバーとは、具体的には「予算配分の最適化によっていかに投資対効果を高められるか」ということです。

予算のレバーは、機能のレバーの特性である、「いつでも取り組むことができ、悪く言えば場当たり的にでも対応できるもの」に対して、「事前準備が極めて重要である」ものと言えます。では、予算のレバーを操作し投資対効果を高めるとはどういうことかについて、下記に一例を示します。

 

予算のレバー1

 

よくあるケースとして、上記のように、例えばすべてのチャネルの月額総予算が500万円などと決められている場合、その予算を達成するために各チャネルに対してうまく日予算を調整していきますが、状況によっては上図のようにキャンペーンが日予算の予算上限に達することがあります。(※アドワーズやスポンサードサーチでは、設定日予算を越えた広告配信が見込める場合は、上図のようにアラートを出してくれます。)

上図のケースのように、施策における「良い部分」と「悪い部分」がはっきりと分かっていれば、「良い部分」に予算を寄せるだけで、全体における投資対効果は、非常に分かりやすく向上します。

しかし、この予算のレバーを正しく操作するためには、下記の2つが条件として整っている必要があります。

 

①正しく効果を評価できていること(効果の正しい定量化)

②素早く効果の比較ができること(効果の比較容易性)

2つの条件

 

上述した例のように、アドワーズとスポンサードサーチの類似するキャンペーン同士の分かりやすい比較であれば、予算再配分の実行は容易ですが、例えば、

 

  • ブランドワードばかりにラストクリックCVが集まり、ブランドワードへアシストしているであろうノンブランドワードの貢献性が定量化できていない
  • リマーケティングでラストクリックCVが集まり、新規リーチ系のディスプレイ広告施策の貢献性が定量化できていない
  • キャンペーンAとキャンペーンBのCPAは、Aの方が1.3倍高い(効果が悪い)が、キーワード軸を見るとA関連の購入対象商品は利益率は高そうなので、一概に悪いキャンペーンとも言えない

 

などのケースでは、良し悪しの判断が曖昧になり、予算のレバーを操作することに自信が持てません。場合によっては、判断を誤ってしまい効果を落としてしまう可能性すらあります。

また、上記のように「正しく効果を評価できているか」という点に加えて、

 

  • キャンペーンの粒度や軸がチャネルによってバラバラ
  • チャネルごとの管理画面を行ったり来たりして場当たり的に比較している
  • 比較するためのレポートを作成するのが億劫なので、比較作業は数か月に1度程度になってしまっている

 

などの、効果を比較することへのハードルが高い場合は、予算のレバーを操作するアクションに対して億劫になり、アロケーションの頻度が低下してしまい効果を上げきれません。

このように、予算のレバー操作するためには、そしてそもそも効果を正しく評価できる(定量化されている)ことと、施策のアカウント構成をできるだけ比較容易なものにしておくこと、が重要になります。

次回は、この予算のレバーを操作するためのコツについて触れていきたいと思います。

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